横浜の「ホテル、ニューグランド」が東電からカネをせびっていた件
要点:横浜のランドマークとして、昭和2年に開業した老舗ホテル「ホテル、ニューグランド」。ロマン溢れる建物が観光客に人気です。そんな表向きの顔とは裏腹に、隠れて東京電力からおカネをせびっていました。理由は「福島第一原発事故による、風評被害」。和解金は4900万円。お、おう。福島県からだいぶ離れたこんな場所でも損害賠償請求ができるんですね、という話。
■特別利益4900万円計上は何だか複雑な思いを抱かせる発表です
当社は、平成 28 年 11 月期第 2 四半期累計期間において、下記のとおり特別利益を計上するこ とになりましたので、お知らせいたします。
特別利益発生の内容と理由
当社は、東京電力ホールディングス株式会社の福島第一原子力発電所における事故に伴い、 観光風評被害における損害賠償を請求しておりましたが、この度、賠償額の和解案が合意い たしました。 これにより、平成 28 年 11 月期第 2 四半期累計期間において、特別利益として和解額 49 百万円を計上いたします。
■ホテルによる風評被害の賠償請求は福島県の1件しか見当たらず
第一原発事故によるホテルの観光風評被害訴訟はそれなりの数があるのかと思っていました。ところが調べてみると、福島県西白河郡にある「泉﨑カントリービレッジ」を経営する泉崎コーポレーションの事例しか見当たりません。そこそこの規模がある会社であれば、それなりの発表か報道があるはず。ホテルが損害賠償請求をしたケースは少なかったものと考えられます。
ちなみに、泉崎カントリービレッジは今年1月に1100万円の支払いで和解しました。福島でモロに被害を受けたホテルが1100万円、横浜のニューグランドが4900万円です。
あのとき、観光客が激減して商売が立ち行かなくなったことは誰もが承知しています。それでも、ニューグランドが何だかとっても、↓こんな感じがするのは気のせいでしょうか。
■上期経常は赤字縮小、第2Qは黒字で着地
ホテル、ニューグランドの16年11月期第2四半期累計の経常損益は600万円の赤字(前年同期は8200万円の赤字)と赤字幅は縮小。直近3か月の経常損益は、4300万円の黒字(前年同期は900万円の赤字)に浮上しています。
和解金は第2四半期の決算に計上されていますが、もちろんそれだけが利益を押し上げているわけではありません。観光客が戻って、今では宿泊が好調なのです。
ちなみに宿泊部門は前年比(2Q)2.4%増の6億4900万円でした。宴会も好調ですね、前年比14.1%増の10億9700万円です。
ホテル、ニューグランドは三渓園の土地や有価証券を売却して、資産の整理を進めていました。今回の和解も成立したことで、今後はホテル経営に集中することを願っています。6月から9月にかけて、レストランや宴会場をリニューアルしています。集客に弾みがつきそうです。