福証のジョイフル(9942)は狙い目銘柄か?
画像:ジョイフル
要点:東京には3店舗しかなく、その希少価値からレアポケモンが出ることでプレーヤーの聖地となったジョイフル(嘘です)。実は全国で768店舗展開する、ファミリーレストラン業界3位の強者です。この会社、福証なのでほとんど知られていませんが業績回復が著しいです。上期の連結経常利益は前年同期比63.4%増の13.7億円に拡大。通期計画の進捗率は62.5%に達しています。しかも「ごはん処 喜楽や」という新業態を開発し、分社化して拡大を狙っている模様。投資家の間では株主優待ばかりが取り沙汰されますが、実は狙い目銘柄なのでは、という話。
■エリア毎の分社化により、意思決定が素早く行える体制に
ジョイフルは経営改革に乗り出しているように見えます。2015年12月期の売上高は前期比5.9%増の628億8000万円。経常利益は10.9%減の21億8700万円でした。
このとき、投資額を抑えた新型直営ジョイフルを31店舗出店。直営10店舗を退店しています。新規投資と退店費用により、利益が抑え込まれた形。
そんなわけで、予想どおり2016年12月期第2四半期の業績は回復しています。こんな感じ。
▼経常利益
・16年12月期第2四半期 13億7400万円(前期比63.4%増)
・15年12月期第2四半期 8億2400万円(前期比27.7%減)
通期計画に基いて下期の経常利益を試算すると、前期比38.6%減の8.2億円落ちこむ計算になります。外食は下期の方が利益は伸びる傾向にあります。すなわち、近々上方修正する可能性もあるということですね(今期は1度上方修正していますが)。
見事に15年12月期で膿を出し切ったように見えます。
更に昨年10月、エリアごとに分社化して持株会社制に移行しました。目的は地域特性や人材に合わせた意思決定を迅速に行うこと。経営環境的にも安定感が出ます。
画像:ジョイフル
■「ごはん処 喜楽や」は第2の稼ぎ頭になりえるか
ジョイフルは新業態の「ごはん処 喜楽や」分社化の検討に入ったと9月10日に発表しました。次なる成長戦略にワンコイン定食業態を放り込むわけです。年内に地盤の大分県を中心に5店舗オープンを計画しています。「喜楽や」の特徴はこんな感じ。
▼500円でおかわり自由
定食の内容はご飯、主菜、副菜、味噌汁、キャベツ、漬物、コーヒー
ご飯、味噌汁、キャベツ、漬物、コーヒーはおかわり自由
▼24時間365日、いつでも500円
▼社食のようなカフェテリア方式なので、待ち時間がゼロ
▼主菜は「チキン南蛮」「塩サバ」など人気メニューが多い
どうですか、サラリーマン、学生の味方といったこの充実の内容。なかなかのものだと思います。
画像:ジョイフル
■ワンコイン定食という穴場業態
つい最近、この記事で安いだけの店はダメだ的なことを書きました。それは基本的に変わらないのですが、未開拓の業態は別だと考えています。
ワンコインというと牛丼、うどん/そば、カツ丼、天丼などが浮かびます。チェーン系でワンコイン定食を提供しているところが、意外にも見当たらないのですよ。大戸屋、やよい軒、宮本むなしは、メニュー内に500円のものがあったとしても、均一ではないですね。
そんなわけで、この業態はそこそこ流行るのではないかと思います。不動産価格と人件費を考えると都市部の出店はムリそう。なので、地方のロードサイドから攻めることになるでしょう。ブランドを確立したら、FCで横展開ですね。直営店が薄利だったとしても、FC展開が成長戦略の柱になるかもしれません。
株価は1100円でほぼ横ばい。PER36倍、PBR2.1倍。どうも買うことに踏ん切りがつかないのは、福証だからですよね、やっぱり。