野菜工場は失敗します、だから参入しない方が良い3つの理由
要点:ベンチャーから大手までこぞって参入した人工光野菜ビジネス。現在、その70%以上の企業が赤字になっています。要因は3つ。
理由①:マーケティングの失敗
理由②:栽培方法が未確立
理由③:コストに見合わない
だからこの事業への参入はやめておいた方がよさそうですよ、という話。
■大戸屋が鳴り物入りで始めた山梨県の「人工光野菜工場」を閉鎖
大戸屋ホールディングスは、山梨事業所の野菜工場閉鎖を発表しました。本格生産への見通しが立たなくなったというもの。同社はすでに第二工場の土地を取得していたものの、それを放棄した形。これによる減損処理は2億5000万円ほど。あいたたたた、という感じですが、これは何も特別なことではなさそうです。植物工場事業の70%以上の企業が赤字だというのです。
失敗する要因は大きく3つ。特にマーケティングで強みを発揮できない点に各社苦しんでいるようです。
■顧客は植物工場の食べ物を望んでいるか?
定食屋さんに昼食を食べに行ったと想像してください。メニューに”植物工場で育てた水菜のサラダです!”と書いてあったとして、どれだけ魅力的でしょうか?私はまったく惹かれません。というか、工場と聞いただけで、ケミカル材料がモリモリのイメージを持ってしまいます。
植物工場は、顧客目線が欠けたビジネスモデルの典型的な失敗例です。人工光による植物のメリットは、傷みと雑菌が少ないこと。すなわち長持ちします。しかしこれは一般家庭の場合の利点。飲食店に来店する顧客には、まったくもって関係ありません。そんなわけで、植物工場の野菜は他のものと差別化がまったくできないわけです。先ばしった大戸屋は第二工場までも見込んでいたようですが、この事業の失敗にもっと早く気づくべきでした。経営の目がなかったと言わざるを得ません。
■植物を甘く見ていた経営陣
植物工場は最新設備が揃っています。導入には億単位の金額が必要ですが、国や自治体がバックアップしているため、補助金が結構入るようです。3億5000万円の投資に対して、補助金が2億5000万円近く入ることもあったとか。「おっと、やってみようかな」と思った人も少なくないはず。しかし落とし穴があります。
ハードが整っていたとしても、温度や光触媒の管理、水の調整はなかなかスキルが必要なものだったのです。ハードが十分でも、ソフトが不十分でした、ということです。
それが失敗要因の二つ目。栽培方法が未確立。
■いくら値段が上がったからといっても、野菜は安い
補助金を引いて1億円以上の投資をしたとして、それを野菜が回収することがどれほど難しいか。考えるまでもありません。
植物工場が勃興したのが2000年初頭。この先、工場の閉鎖や倒産のニュースが世間を賑わすかもしれません。
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