6月上場のコメダ珈琲は話題性でバブっている内に売るのが得策
要点:外食系、久々の大型案件です、コメダの新規一部上場。現在の680店舗から全国1000店を目指す成長性、業績が急拡大した話題性、誰でも知っている知名度。そんなわけで新規公開株(IPO)を手に入れようと、様々な投資家が食指を伸ばしています。が、個人的には長期で持つ株ではない気がしています。なぜか。大株主のMBKパートナーズは何が何でも手持ち株を短期で、かつ高値で売却しようと目論んでいるはずだからです。なので、長期投資には向かないでしょう、という個人的な意見です。
■MBKパートナーズとは何者か?
韓国系の私募ファンドです。7人という超少数で始めたものの、1年で約1兆ウォン(1ウォン=約0.09円)もの資金を集めたことで有名。創業者のキム・ビョンジュ氏は米カーライル・ファンドのアジア代表を務めた人物でした。
創業者チームはカーライルの血と哲学が流れ込んでいる集団です。
カーライルはバイアウトやレバレッジド・ファイナンスで有名な会社。早い話が、会社を安値で買い付けて、高値で売りましょうという手法に長けています。
その土壌から芽を出したMBKパートナーズが、コメダの買い付けに走ったのが2013年。買収額は430億円とも言われています。
■買収当時のコメダの株式価値は330億円
MBKが買収する前に12%の株主だった、ポッカの開示によれば売却額は40億円。これを100%換算すると、コメダの株式価値は330億円だったことになります。コメダの負債100億円程度を抱え込んだ形。
EBITDA倍率(会社が稼ぐ能力に対する買収額)は12倍を超えており、決して安い買い物ではありませんでした。さぞかし高値で売りたいでしょう。
■経常利益14億円から40億円に急拡大!は要注意
コメダの2014年2月期の売上高は70億6100万円で、経常利益は約14億円でした。2016年2月期は売上高115億円、経常利益は40億9000万円に急拡大しています。しかし、これを額面どおりに受け取ってはいけません。
MBKパートナーズがコメダ買収を行ったのが、2013年1月。経常利益を押し下げているのは、企業買収時の借り入れが影響しています。ここは営業利益に注目するべきです。
▼営業利益
2013年2月期 29億3600万円
2014年2月期 34億3700万円
2015年2月期 39億5000万円
2016年3月期 42億5200万円
急拡大しているというよりは、順調に成長しているといった印象に変わりますね。
あまり知られていませんが、コメダ珈琲は14年度の時点で直営店が9店舗。この会社のビジネスモデルは、典型的なフランチャイズモデルです。加盟店を着実に増やして、利益を稼いでいるのです。それはつまり、上場による資金調達をするメリットがほとんどないということでもあります。
今回の上場は、MBKが資金を得ることが目的。そう考えて間違いなさそうです。
ロックアップ期間はまだ公表されていないようです。人気株であるがゆえに、市場で高値をつけさせ、その後相対取引(あいたいとりひき:市場を通さず、個人・企業間で直接取引すること)で大量に株の放出を狙っているような気がしてなりません。フランチャイズのビジネスモデルは長期的にみて、急拡大する可能性が少ないからです。抜け目ない彼らは、早め、早めで動くでしょう。
なので、IPOを手に入れた方はご注意ください、という私見でした。
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