ダイヤモンドダイニングがゼットンを買収!売り上げ規模は300億→400億へ
写真:ダイヤモンドダイニング
要点:外食上場企業大手のダイヤモンドダイニングが、「アロハテーブル」などで有名なセントレックス上場ゼットン(3067)の株式を公開買い付けします。買い付けの下限を40%と設定しており、完全子会社化への布石となります。ゼットンの売上高はおよそ100億。子会社化すればダイヤモンドダイニングの売り上げ規模は400億円台となり、チムニー(およそ470億円)に迫る勢いとなります。
※ダイヤモンドダイニング代表の松村厚久さん(右から2番目)と、ゼットン創業者の稲本健一さん(右3番目)は、写真の通り蜜月の関係。今回の買収劇は両社の利害が一致した、前向きなものとなります。
■目標「100店 100業態」達成の次は、「1000店 売上1000億円」
同業態を横展開し、フランチャイズ化するのが外食の基本(典型的な例がワタミ)。そんな居酒屋業界に殴り込みをかけたのがダイヤモンドダイニングでした。
2001年にヴァンパイアカフェをオープンし、2002年にダイヤモンドダイニングを設立。2010年までに「100店 100業態」という無茶苦茶な目標をたて、恐ろしいことに達成してしまいました。設立当初は白けた目で見ていた業界関係者が、白目をむいたというわけです。
次なる目標として設定したのが「1000店 売上1000億円」というもの。このときの売り上げ規模はおよそ250億円。1000億円クラスといえば、ワタミの1200億円に迫るという、これまたとんでもない目標でした。当然、新規出店するだけでは届かないわけで、M&Aに動くのです。
2011年にビリヤードやダーツでお馴染みのバグースを買収。昨年は一家ダイニングプロジェクトへ出資を決定しています。そして今回、ゼットンの公開買い付けを行いました。
■ゼットンの営業利益は直近で9300万円の赤字と斜陽化していました
ゼットンの28年2月期の業績はこんな感じです。
▼売上高 101億4100万円(昨対5.5%増)
▼営業利益 9300万円赤字
▼経常利益 2400万円(91.9%減)
ちなみに29年2月期の業績予想はこんな感じ。
▼売上高 102億(0.6%増)
▼営業利益 2億3000万円
▼経常利益 3億円(65.4%増)
ゼットンの売上は3つの柱で構成されています。
①:ビアガーデン
②:アロハテーブル(ダイニングカフェ)
③:ブライダル
① ビアガーデンは天候に左右されやすく、特に昨年は影響をもろに受けたようです。不採算店を閉店し、特別損失を計上していました。
② 主力のアロハテーブルは出店速度に人材育成が追いつかず、既存店の人員不足を招いています(社員をフル回転で毎日出勤させる、ブラック企業の烙印を押される手前まで行ったかどうかはわかりません)。主力事業がガタついたことは間違いなさそうです。
③ ブライダルは稼ぎ頭の名古屋のガーデンレストラン「徳川園」が競合に押されて停滞気味。名古屋エリアは業界でも激戦区として有名で、最近ではツカダ・グローバルホールディングスが駅前にとんでもない巨大施設をオープンしていました。徳川園は一時テレビでも取り上げられて話題となりましたが、駅から遠いなどの要因により、人気が衰えているのでしょう。
■両社にとってのメリットはどんなところが考えられるか
▼ダイヤモンドダイニングのメリット
・店舗数、売り上げの拡大
ダイヤモンドダイニングの28年2月期の売上高は298億2000万円です。
・ブライダル事業のノウハウ吸収
個人的にはコレが一番大きいと見ています。ダイヤモンドダイニングはイノベーションデザインというブライダル・コンサル企業と提携し、ウエディング事業へと本格的に乗り出しました。が、現在はハワイウエディングのみに留まり、大きな飛躍はできていません。
ゼットンは、名古屋の徳川園・テレビ塔や、横浜の山手十番館・マリンタワーなど、歴史的建造物やランドマークを結婚式場として活用し、成功した企業。遊休化した施設の再生・活用の手法に長けています。
松村社長は築100年以上の歴史的建造物をブライダル施設として再生、今秋にオープンすると公言しています。ゼットンのノウハウは会社を成長させる上で必要不可欠なものでした。
・ビアガーデン事業の新規開拓
遊休スペースを夏季限定でビアガーデン化しているゼットン。その事業を協業して拡大すると考えられます。
▼ゼットンのメリット
・人員不足解消
・成長路線から安定路線へ
ゼットンは昨年、稲本さんが社長から会長へと変わり、会社が潮目を迎えていました。会社をガンガン成長させるという気概が薄まり、今後は安定的に動かすということでしょう。完全子会社化されれば、人員不足も解消されますね。
ダイヤモンドダイニングは今後の成長が期待される優良企業です。多角的な展開に注目が集まっています。