松屋(8237)が婚礼施設「リュド・ヴィンテージ目白」の運営に特化した子会社を設立。違う、違うんだ、その物件はとっとと売却するべきなんだ
要点:2014年12月にグランドオープンした婚礼施設「リュド・ヴィンテージ目白」。松屋の施設ですが、どうやら鳴かず飛ばずの様子。運営は飲食事業を取り仕切る子会社「アターブル松屋」が行っています。経営を集中させるため、松屋は別会社「リュド・ヴィンテージ目白株式会社」を新たに立ち上げると発表しました。違います、松屋さん。無駄なあがきはやめて、その物件はさっさと売りに出すべきです。理由は1つだけ。
①:立地が悪すぎる
■オープンから1年半、早くも4億1000万円の減損を発表
アターブル松屋が本腰を入れてオープンしたゲストハウス「リュド・ヴィンテージ目白」。約1年半が経過し、早くも経営に黄色信号が灯りました。松屋は平成28年度2月期第4四半期において、「リュド・ヴィンテージ目白」の減損4億1000万円を計上したのです。
会社の発表では販管費の増加に伴う利益の押し下げが原因とあります。
松屋さん、本当は見込みを大きく下回る集客力のなさが背景にありますよね?だって、どう考えてもこのゲストハウスは売れませんもの。
松屋は「リュド・ヴィンテージ目白」の運営をアターブル松屋から切り離し、運営専門の子会社を設立すると発表しました。アターブル松屋は”ドル箱”である「東京大神宮マツヤサロン」を従来のように運営し、”ヤバい方”は専門家を入れて徹底的にテコ入れを図ろう、という意図が見えます。
会社が総力をあげてオープンした飲食店・婚礼施設が大失敗し、経営の専門家・コンサルタントを迎えて何とか巻き返しを図る。ところが現場は混乱し、ブランディングはめちゃくちゃ、よくわからない安売りイベントを発表し、気づけば売却の憂き目に。そんな施設を頻繁に目にするはず。「リュド・ヴィンテージ目白」もその香りを放ちまくっています。
なぜか。どんなに優れた経営者・コンサルタントも立地の悪さはどうすることもできないからです。
■「目白」という鬼門
「リュド・ヴィンテージ目白」は目白駅の目の前にあります。駅に近い優良物件?違います。レストランならともかく、婚礼施設の場合多くのゲストが遠方からやってきます。駅に近いかどうかではなく、ターミナル駅を中心に考えなければなりません。
目白は新宿・池袋に挟まれた場所。恵比寿や広尾、六本木のようなブランド力が強い街ならともかく、目白を選ぶ理由はありません。このあたりで結婚式を検討し、ゲストを思いやるカップルは、新宿・池袋を選ぶでしょう。
■競合が強すぎる
目白という弱点を克服するほどの結婚式場が1つだけあります。「椿山荘」です。1500件近くもの結婚式を行う人気の会場です。歴史ある建物と広い庭園、知名度が集客に結びついています。カップルは”目白”を理由に椿山荘を選択するわけではありません。椿山荘で挙式したいから、椿山荘に足を運ぶのです。
「リュド・ヴィンテージ目白」はビルの3階と4階にあるレストラン型。「椿山荘」に匹敵するほどの魅力を持っていません。
ビルイン型婚礼施設は、エスクリによって爆発的に広まりました。ターミナル駅から徒歩5分圏内に設け、アクセスのしやすさを徹底的に追及したのです。ターミナル駅近くで、貸し切り感が味わえることから、人気に火がつきました。エスクリはリュド・ヴィンテージと同時期に「アルマリアン東京」を池袋駅徒歩2分の場所にグランドオープンしています。ビルイン型なら、アルマリアンを選ぶのが順当ですね。
そのほか、池袋駅には大人気ゲストハウス「リビエラ東京」があり、新宿駅にはヒルトン、ハイアットといった高級ブランドホテルが鎮座しています。
流行りものを寄せ集めた「リュド・ヴィンテージ」は、孫悟空やベジータを前にした”栽培マン”といった印象……。
■スーパーマーケットと同居する施設で結婚式を挙げたいと思うか?
「リュド・ヴィンテージ目白」は「トラッド目白」という商業施設の3階と4階に入っています。このビル、下の階は「クイーンズ伊勢丹目白店」。いわゆるスーパーマーケットです。
非日常の空間を求める結婚式場に、スーパーマーケットはどうしてもミスマッチ。入口はスーパーとは別の場所に設けてありますが、やはり厳しい。想像してください。一生に一度の結婚式場を選ぶとき、ビニール袋からネギを出した方々を目にしたらどう思いますか?
新郎新婦「マジありえないんですけど」
両親「マジありえないんですけど」
通りがかりの猫「(マジありえないんですけど)」
おばあちゃん「今日は湯豆腐にしようかねぇ」
私がコンサルタントだったら、一目散に逃げ出します。
将来的にも、売れる見込みのない恐るべきゲストハウス「リュド・ヴィンテージ目白」。
賃貸借契約でおそらく5年から10年の縛りがあるとは思います。それでも早々と見切りをつけてこの会場は売却するべきです。新しくて資産価値が少しでもあるうちに。
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【関連News】
松屋 が4月14日大引け後に決算を発表。16年2月期の連結経常利益は前の期比27.1%増の28.9億円に伸びたが、17年2月期は前期比6.6%減の27億円に減る見通しとなった。
直近3ヵ月の実績である12-2月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比2.5%増の10.4億円となったが、売上営業利益率は前年同期の4.3%→3.9%に悪化した。
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