クリスピー・クリーム・ドーナッツの身売り先はコーヒーの会社を多数保有する投資ファンドJABでした
要点:日本でも行列ができたことでお馴染みのクリスピー・クリーム・ドーナツ。米国本社の身売りが決定しました。ドイツの資産家ライマン一族の資産運用を担うオランダのJABホールディングス。この投資ファンドは、カフェ運営のピーツ・コーヒー&ティーやカプセル入りコーヒーのキューリグ・グリーン・マウンテンを買収しています。今回の買収劇は経営再建で会社の資産価値を上げるというよりは、コーヒー店との相乗効果を狙っているようですね。
■買収額は1500億円
スターバックスと同時期に快進撃を続けていた、クリスピー・クリーム・ドーナツの身売り。売却先はオランダのJABホールディングス。1500億円の大型買収です。クリスピー・クリーム・ドーナツは非上場となり、JAB傘下に入ります。JABという投資ファンドは再上場させて株式の売却を狙うハゲタカ系ではありません。
では、JABホールディングスとは何者か。コーヒー関連の会社を買いまくっている、コングロマリットです。例えば……
①インテリジェンシア・コーヒー
人気のブルーボトルコーヒーと同様のスタイルを踏襲するカフェです。シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークに展開しています。最高級の豆を使い、手練れのバリスタが一杯一杯丁寧に淹れるというお店です。
②ピーツ・コーヒー&ティー
アメリカのコーヒー焙煎、小売大手。カフェはスターバックスの前進ともいわれており、2010年の時点で192店舗を展開しています。2002年に日本にも進出していますが、撤退しました。
③キューリグ・グリーン・マウンテン
シングルカップ用のコーヒーサーバーが有名。日本ではネスプレッソが人気ですが、アメリカではこちらが主流。
■経営の立て直しはなかなか難しそう
クリスピー・クリーム・ドーナツは浮き沈みの激しい会社でした。
2000年前半の株価(米国)は50ドル近辺まで上がり、その後急降下。世間を騒がせたサブプライム危機が一服した2009年ごろには1ドルまで大暴落しています。
スターバックスと同じですね、店舗を急拡大しすぎたことで製品の質・サービスが落ち、目新しさやブランド価値が失われ、客足が遠のく。そして減損。チェーン展開する飲食店では、よくある話です。
■売上の7割を占める海外事業の再建が急務
日本国内でも閉店ラッシュは続いています。2015年に64店舗展開していましたが、2016年3月末で49店舗まで減少しています。
ブランド価値を失ったクリスピー・クリーム・ドーナツは、”ただ高い”だけのドーナツ屋さんになってしまいました。プレーンタイプは160円ですが、ミスタードーナツやセブン-イレブンなら100円です。
ここから巻き返すとなると、マーケティング、ブランディングからやり直さなければなりません。JAB傘下のコーヒー店などと上手く組み、新たな価値を創出できるのか。今後の事業展開が楽しみですね。
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