【デフレの象徴】280円均一鳥貴族が順調に成長しているの巻
■自社内競合の境界線、500店舗目前
「鳥貴族」。学生や会社員の方なら、一度は行ったことがあるのではないでしょうか?足を運んだことがなくても、黄色い看板を一度は目にした方は多いでしょう。スーパーチェーン系居酒屋ワタミが苦戦する中、格安チェーンで成長しているのが鳥貴族です。
まず店舗数。飲食業界では、500店舗出店すると自社内で食い合いが起こると言われています。2016年3月の時点で、店舗数はフランチャイズも含めて458。業界の限界と言われる境界線に立っていますが、出店スピードは衰えることがありません。中期経営計画によると、2021年7月までに1000店の目標を立てています。
企業収益も順調です。直近の業績である16年7月期第2四半期の売上高は前期比33.9%増の113億5000万円。経常利益は65.6%増の6億5600万円。通期計画の13.1億円に対する進捗率は50%を超えており、年末年始をこの先控える中でのこの数字は、好調という他ないでしょう。
その成長スピードに合わせるように、2014年ジャスダック上場、2015年二部へ市場変更、2016年4月一部変更しています。まさに順風満帆。
■安いだけじゃない、商品開発力が決め手に
安価で仕入れた食材や飲み物を安く提供するだけなら誰でもできます。鳥貴族の強みは商品開発力を高め、他店との競争力を強化していることです。
例えば、「金麦大ジョッキ」「プレミアムモルツ」、ウィスキー「響」「山崎」などもすべて280円で提供しているというから驚き。単品で見れば赤字にもなるようですが、粗利率の高い商品との組み合わせで利益を出しています。
面白いのは、鳥貴族がドリンクではなく、料理で稼ぐ構造になっていること。通常の飲食店では、ドリンクが利益の源泉ですね。
■居酒屋の「コンビニ」を目指す鳥貴族
「ちょっと何か食べたい」そんなふうに思ったとき、真っ先に行こうとする場所はどこですか?多くの人はコンビニと答えるはずです。家の近くにあり、ほとんどの食材はそろっていますね。
鳥貴族が競合ととらえているのが、実はコンビニ。誰もがふらっと立ち寄れる、外食の枠を超えた存在を目指しているのです。2021年に1000店舗を目標としているのですから、それもうなずけます。
■外国人労働者を積極採用
出店スピードを早めると必ず起こるのが人材確保の問題。ワンオペで大失敗した「すき家」を初め、ワタミもブラック企業問題が失速の一番の原因でした。
鳥貴族は中期経営計画において、外国人労働者の積極採用を打ち出しています。確かに、低価格の居酒屋であれば、サービス面を気にするお客さんは少ないはず。多少日本語がたどたどしかったとしても、ご愛嬌で済まされる可能性が高そうです。
スタッフをフックとしてリピーターを呼び込む塚田農場のエー・ピーカンパニーとは方向性がまるで違いますね。
脱デフレを掲げる日本政府、日銀とは真逆の戦略を歩む鳥貴族。今後の展開に期待したいところです。
-------------------------------------------------------------------
【関連News】
鳥貴族の2016年3月度月次報告では、直営既存店販売が前年同月比5.5%増と25ヶ月連続で前年実績を上回った。客単価は0.3%減だったものの、客数の伸びは5.9%増となった。
【PR】
飲み放題付き宴会コースが人気のお店