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ビールを飲む理由

飲食店オーナーを目指すサラリーマンが、日々収集したフードビジネスやサービス業についての情報を書き込む備忘録

ぐるなび(2440)が次の成長戦略に向けて酒蔵の囲い込みを進めている件

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要点:ぐるなび日本酒造組合中央会と連携し、日本全国の「日本酒・焼酎データベース」構築へと動き始めました。飲食店ポータルサイト事業の成長は頭打ち。新たな事業戦略として、生産者などの川上を抑える方向へと動いているようです。悪い言い方をすれば、飲食店から吸い上げ続けた甘い汁が尽き、次のターゲットとして酒蔵へと食指を伸ばした恰好。ここのところ株価は上昇傾向で、8月初旬に上場来高値を記録したところを見ると、投資家もその戦略に期待している様子。巨大企業も投資家の皆さんも、弱い者からカネを搾り取ってほくそ笑むのですね。でも、それが資本主義社会です当然です、という話。

 

■2021年3月期に全社売上高550億円の目標を掲げたぐるなび

 8月24日ぐるなび日本酒造組合中央会を通し、全国の酒蔵の情報を集めると発表しました。集めたデータをもとに、飲食店のドリンク情報の充実を図るというもの。早い話が、居酒屋で飲めるお酒がどこの酒蔵で、どんな風に作られているのかわかる、ということです。ユーザーにとってはうれしい話ですね。

 しかしながら、これはどうやら表向きの発表の様子。ぐるなびは次の成長戦略として、生産者や食品メーカーの販促支援を行う計画を立てていました。集めた酒の情報を、飲食店向けのB to BプラットフォームかECサイトに放り込んで、広告費を吸い上げる布石なのでしょう。

 ぐるなびの2016年3月期売上高は259億9000万円。それを2021年までに550億円まで引き上げる計画を発表しています。

▼飲食店ポータルサイト以外の、第2第3事業を立ち上げる中長期戦略

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■飲食店はIT用語の煙に巻かれて広告費を巻き上げられています

 穿った見方をすれば、ぐるなびは酒蔵からカネをむしり取るという構図。事実、グルメポータルサイトの登場により、飲食店でも同様のことが起こりました。

 ITのことなど何も知らない全国の飲食店では、よくわからないカタカナ用語で丸め込まれ、結構な販促費を毎月搾り取られているケースがあったります。こんな感じ。

ぐるなびの美人営業:「オーナーさーん。Googleアルゴリズムがユーザーファーストなディレクションにシフトしちゃったからー、ぐるなびもそれに合わせてキーポンムービング?みたいな感じなの。だから、もっとコンテンツにマネーをベットしないと、ユーザーがシュリンクしちゃう?みたいな」

飲食店オーナー:「うーん、よくわからないなー(いいから抱かせてくれよ)」

ぐるなびの美人営業:「だからね、ギブミーマネーで、商売繁盛?みたいな」

飲食店オーナー:「わかった、わかった。わかったから、今晩飲みに行こう?ね?」

ぐるなびの美人営業:「特集ページにー、掲載してくれたら考えてもいいかもー。かもかも」

飲食店オーナー:「わかった、わかった」

ぐるなびの美人営業:「では、ここにサインを(キリッ)」

※イメージです。

 全国の酒蔵も飲食店と同じくITリテラシーは低いものと考えられます。

 飲食店の場合、広告費をかけて集客できたことが麻薬のように中毒になり、やがて客数が落ちると過度に広告に資金を投じて倒産、というケースが結構あります。広告メディアの食い物にされた格好ですね。全国の酒蔵が同じ轍を踏まないと良いのですが……。

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■酒蔵の数は2009年の1700から1500前後にまで減少しています

 とはいえ、酒蔵の廃業が止まらないのも事実。かつて4000以上あった酒蔵も、2009年には1700、今では1500前後にまで減りました。販売チャンネルがないのが一番の原因と考えられます。

 ぐるなびが、酒蔵にWebによる販路拡大のチャンスを与えたのだとしたら、社会的貢献度は大きいです。

 消費者の理想の形としては、全国の珍しいお酒が近所の飲食店で楽しめ、通販で手軽に入手できるということでしょう。こだわりの米と製法でおいしいお酒を造る酒蔵は全国に数多く存在しています。ただ、知られているのはごくわずかです。

 危惧すべきは、ポータルメディアが業界の構造を大きく変えてしまうことですね。潤沢な販促費がかけられる巨大酒造メーカーが生き残って、倒産した酒蔵を買い漁り、名ばかりの酒造りを続ける。味は流行に合わせて平板に。日本酒ファンは増えても、品質は落ちるばかり。

 そうならないことを祈ります。

 さて、日本のお酒の行く末はいかに。

 

酒蔵名鑑(2014~15年版)

酒蔵名鑑(2014~15年版)