ビールを飲む理由

飲食店オーナーを目指すサラリーマンが、日々収集したフードビジネスやサービス業についての情報を書き込む備忘録

KG情報(2408)はウエディング事業で本気のテコ入れを図るべき3つの理由

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要点:KG情報(2408)の16年12月期第2四半期の連結経常利益が前期比8.7%減、0.4%増益予想から一転して減益となりました。更に通期の利益を従来予想の7億円から4.9億円に約30%下方修正。株価は7月7日の555円から、8日の489円まで急落。この会社、微妙に力を入れているウエディング事業が足を引っ張っているような気がしてなりません。やるならやれよ、ダメならやめろ、という話です。

 

■渋谷の超一等地に突如出店するという暴挙

 KG情報は四国が地盤の会社です。求人、不動産・結婚式場紹介などを行っています。さながら四国・九州のリクルートといったところ。情報誌(雑誌)を主力として事業展開してきましたが、最近はWebに押されて業績は悪化気味。

 こんな感じです。

▼26年12月期 ※( )は前期比

営業収益 44億2600万円(△5.6%)

営業利益 5億3700万円(△29.3%)

経常利益 5億4300万円(△33.8%)

▼27年12月期

営業収益 41億9900万円(△5.1%)

営業利益 4億5000万円(△16.1%)

経常利益 4億6400万円(△14.5%)

 

 ヤバいですね。年々売上、利益が減少しています。そんな中、ブライダル事業で一発逆転を狙ったのです。1000%ウエディングと銘打ち、渋谷駅ハチ公前の超一等地に意気揚々とやってきました。それは業界を変える黒船かと思われました(が、どちらかというとモリ一つで空中要塞ギガントに挑む未来少年コナンを彷彿とさせるものでした)。

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 間違えました。こっちです。

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■やりたいこともやれないこんな世の中じゃ、POISON

 1000%ウエディングは上手くいっていません。なぜか。理由は3つです。

①:営業の力不足

②:スタッフ(ウエディングプランナー)がやりたいことをできない

③:賃料が高すぎる

 

 まずは①から。1000%ウエディングは結婚式場の紹介カウンターとなっています。ここにやってきたカップルに結婚式場を紹介し、会場から手数料を得るというビジネスモデル。このモデルで重要なのは、いかに多くの結婚式場と提携できるか。紹介してもらえる会場が多ければ多いほど、人が集まりやすいからです。ゼクシィが良い例ですね、ほぼ全ての結婚式場を抑えている安心感が、カップルを惹きつけています。

 1000%ウエディングのホームページを見ると、会場が圧倒的に不足しています。特にテイクアンドギブ・ニーズ、ノバレーゼエスクリ、アニヴェルセルといった、上場系大手の施設が一切ありません。営業力が弱く、切り込めないのでしょう。これでは人は集まりません。

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 1000%ウエディングは、結婚式場紹介とは別に、自社のウエディングプランナーが結婚式をプロデュースするという形をとることもできます。ところが、ウエディングプランナーはやりたいことができません。

 なぜできないか。なぜなら、結婚式場紹介がメインのビジネスモデルとなっている以上、自社が結婚式をプロデュースすると提携先に対して顔が立たないからです。自社案件が増えれば増えるほど、営業サイドは迷惑なわけですね。

 どんなに良い結婚式のプロデュースができたとしても、社内でイヤな顔をされる。しかも大々的に宣伝ができない。スタッフのモチベーションはだだ下がりです。

 そんなわけで、やりたいこともできないというわけです。それが②。

 ちなみに上の写真は、ウエディングドレスを着たまま海に入ってしまおうという企画。これは結婚式の話ではなく、ウエディングフォトの話です。やはり企画はこの辺りまでが限界なのでしょう。

※婚礼プロデュースで成功したクレイジーウエディングと比較すると一目瞭然。

■家賃は推定月360万円

 ③番目。KG情報が出店したのは、渋谷駅ハチ公前。ロクシタンがテナントとして入る、超一等地です。しかも、3階と4階の2フロアを借りきりました。

 推測ですが、この辺りだと1坪3万円ほどでしょう。1フロア60坪ほどの広さ。2フロアで賃料は月360万円。年間4300万円ほどに膨れ上がります。これほどまでに賃料に投資する必要が本当にあるのでしょうか?

 会社の思惑としては、通りすがりの顧客を取り込めると考えたのでしょう。しかしながら、ふらっと立ち寄るカップルがどれほどいるのか疑問です。

 結婚式場選びをする場合、カップルは3~400万円ほどの出費を覚悟します。事前に相当調べるケースがほとんどのはず。家賃でこんなに出費をするよりも、Web広告にお金をかけた方が、よっぽど集客に結びつきそうです。

 事実、ゼクシィ相談カウンターは、百貨店やショッピングモールなどの一角を借り、細かく、全国に広げています。

 以上の理由から、現在の戦略ではウエディング事業は上手く行きません。本気でやるなら営業部隊を揃えるか、プロデュース事業を強化するか、渋谷から撤退するか。とにかくテコ入れか、規模縮小かを本気で考えた方がよさそうです。