ビールを飲む理由

飲食店オーナーを目指すサラリーマンが、日々収集したフードビジネスやサービス業についての情報を書き込む備忘録

経常利益を60%上方修正!モスフードサービスはどこまでも顧客目線でした

 

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要点:モスフードサービスが5月2日の大引け後に業績修正を発表しました。平成28年3月期の売上高は2.3%増の711億円、経常利益に至っては、当初の見込み25億円から60%アップの40億円。好業績の裏には昨年5月の商品値上げがありますが、顧客離れを引き起こさないモスフードの顧客第一主義が奏功しているようです、という話。

 

■値上げ時に行われた”地域農家の野菜店長収穫作戦”

 モスバーガーは5月19日から全店で値上げを行いました。全体で30~50円の単価アップ。モスバーガーは340円→370円、ブレンドコーヒーは230→250円となっています。

 円安による資材・原材料費高や人件費が高騰する中、ファーストフード店の値上げは仕方のないこと。しかし、マクドナルドや吉野屋のように、ちょっとした価格調整が客足を抑え、大幅な収益減というのはよくある話です。

 モスフードサービスは単価アップによる顧客離れを防ぎ、増益に結びつけています。細かなその戦略がすごい。

 値上げと時を同じくして行われていたのが「モスの産直野菜フェスタ」です。

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 モスが契約する農家の畑に店舗の店長が朝一で出向き、野菜を収穫。その日獲れたトマトやレタスを使ってハンバーガーを作るというもの。昨年6月に奈良県で始まり、今年1月の沖縄県まで、全国をリレー形式で移動しました。

 このイベントを店頭で目の当たりにした顧客は3段階の気づきがあったはずです。

①:モスが農家と直接契約していたこと

②:契約農家が近隣のものであったこと

③:食への安全が確かなものであること

 2014年7月にマクドナルドの鶏肉問題が起こり、海外産の”訳の分からない”食材が嫌厭されていた時期。食の安全やこだわりを消費者に届けることは重要でした。

 モスバーガーは「価格に見合う価値を提供している」=「高くても買う」という心理の植え付けに成功しています。

  

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■マネージャーや経営陣を現場と交流させる”すごさ”

 産直フェスタは、広報や販促担当ではなく店長を畑に向かわせているところがミソです。責任者が現場に足を運ぶことで、モスファンを創るとの櫻田社長の考えがあります。

 モスは各地域の顧客や農家、社長、執行役員が直接交流する「タウンミーティング」を開催しています。全国の都道府県で行い、2015年9月の徳島開催で全国を回りきりました。経営陣と顧客が意見交換を行う中で、早朝営業・野菜デザートといったアイデアへとつなげています。

 写真の傑作ベーコンもタウンミーティングから産まれたもの。高級路線にも関わらず、約4ヶ月間で300万食の販売目標を立てています。

 ここにマクドナルドとの違いがありそうです。カサノバ社長は経営再建を図る「ビジネスリカバリープラン」を発表するも、”机上の空論で中身がない!”と大批判を浴びました。これはプロダクトアウト主義の典型的な例です。

 モスフードサービスは会社全体で顧客の中に入り込む、マーケットイン方式が”戦略”としてではなく、”思想”に組み込まれています。

カサノバ氏が大学院卒のエリート、櫻田氏は高卒の現場主義という経歴の違いが背景にありそうですが、それは別の話。

 顧客主義を貫く、いかにも日本的な企業、モスフードサービス。通期決算の内容が楽しみです。

 

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【関連News】

 モスフードサービスは取締役へのインセンティブプランとして、株式報酬制度を導入した。社員の中長期的な業績向上と企業価値増大への意識を高めることが目的。

 

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