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ビールを飲む理由

飲食店オーナーを目指すサラリーマンが、日々収集したフードビジネスやサービス業についての情報を書き込む備忘録

結婚式場運営会社「ブラス」で証明された、[上質なサービス]≠[資本主義]の関係

ウエディング

f:id:fuwablog:20160420225400p:plain■善良な経営者を打ちのめす株式市場

 ハイクオリティなサービスや、従業員の満足度向上、顧客目線。それは商売のあるべき姿のはずですが、資本主義を突き詰めた世界において、それは”クソ”ほども価値のない、絵空事に過ぎないのでした、という厳しい話です。

 2016年3月9日、名古屋を拠点とする結婚式場運営企業「ブラス」がマザーズ市場に上場しました。上場前の株価公募価格は4,370円。大手証券会社の初値予想は5,500円から6,000円となっていましたが、フタを開けると初日の終値が4,240円。公募割れというズタボロの結果に終わってしまいます。

 そこからの推移もひどい。翌日には早くも4,000円を割り、3,865円。4月8日には2,550円をつけるまでに続落してしまいます。

 株価がここまで下落した要因は何か。それは結婚式場運営会社のあるべき姿を追求したブラスという”特殊な”経営スタイルに裏打ちされたものなのでした。

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■1日2組限定の結婚式という特異性

 結婚式を挙げた方、出席した方の中で、挙式後の写真撮影や披露宴の後に「お早めに移動してください」などと、スタッフに声をかけられた経験があるはずです。一生に一度の結婚式、ゆったりさせてくれと思うものですが、これには理由があります。次の結婚式が控えているからです。

 結婚式場は、1つの宴会場で1日2回から多くて4回の披露宴を行うのが普通です。1つの結婚式場で宴会場は3つから4つ設けてあるパターンが多くなっています。なので、1日に10前後の結婚式が行われているわけです。

 そうすると、調理場をはじめ、サービススタッフは疲弊します。おまけにカップルやゲストは、次の結婚式のためにスペースをあけなければならないのです。スタッフ、顧客両方がルーズ・ルーズの関係になっていますね。

 そこで「ブラス」は1つの結婚式場に1つのバンケットしか設けないスタイルを提唱しました。1日に行う結婚式の数は2回に収めたのです。顧客はゆったりと過ごすことができ、スタッフは十分なサービスを提供することができます。まさに、ウィン・ウィンな関係ができるわけです。

 ところが……

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■収益がものを言う世界、それが株式市場

 もうお気づきですよね?そうです、ブラスのビジネスモデルでは稼げないのです。同じ敷地で、4つの宴会場を持つ結婚式場と、1つの宴会場、どちらが儲かるかは火を見るより明らかです。

 ブラスは結婚式業界の欠点(過剰に顧客を取り込んで、窮屈な思いをさせていること)を指摘し、顧客満足度を上げて口コミによる顧客獲得を狙いました。しかしその戦略にも落とし穴があったのです。それは、【友だちが結婚式を挙げた場所では、自分は絶対に結婚式を挙げたくない】という鉄則です。

 つまり、通常の飲食店のような口コミ来店が望めない業界なのです。

 ブラス代表の河合氏は、もともと司会者。結婚式の表と裏の両方を知り尽くしています。新郎新婦に思い入れがありすぎたからこその戦略なわけですが、資本主義とは相容れない現実を見せつけられたわけです。

 このビジネスモデルは応援したい、けれども投資はしたくない。そんな複雑な感情をもたせてくれた、上場物語でした。

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【関連News】

 結婚式場運営のノバレーゼ金沢市の指定文化財である「辻家庭園」内に、少人数でも高品質な披露宴が行える専用の婚礼施設を4月に開業した。
 新設された婚礼施設「辻家庭園別邸」は、総工費約1億9000万円を投じた2階建て(延べ床面積302平方メートル)で、辻家庭園内の駐車場であった場所を整備して新築。建物2階に披露宴会場(85平方メートル)を設け、1階を新郎新婦の控え室や列席者の待合室として利用する。最少で新郎新婦含む5人から披露宴を行え、バンケットの収容人数は最大でも着席42人。
 同社が少人数専用の結婚式場を手掛けるのは初めて。初期投資額の回収期間は3年を予定しているという。

 

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