【奢れる者、久しからず?】迷走する小僧寿しチェーン
■昨年末に株式市場から15億円を資金調達
利益を出すことができず、長期の成長を見通すこともできず、事業の売却先を見つけることもできない。そんな企業は日本中に山ほどあります。その先にあるのは、当然”倒産”なわけです。が、大量の投資家と金融機関、従業員を抱えている上場企業は経済へのインパクトが多すぎて、簡単には潰せないわけです。そこで、小僧寿しはライツオファリングによる資金調達を行いました。
→ライツオファリングに関する知識がある方は次の■に飛んで下さい。
ライツオファリングとは、上場企業の奥の手「株券印刷」のことです。
株券印刷といっても、なかなかイメージが湧きにくいかもしれません。そんなときには子供の声に耳を傾けると分かりやすいです。
「日本は財政難で資金繰りに困っているのだから、おカネをたくさん印刷すればいいんじゃない?」
なぜそれができないか?答えはシンプル。貨幣価値が下がって凄まじいインフレに襲われてしまう恐れがあるからです。しかし、株券は比較的カンタンに印刷できるのでした。
仕組みはわかりやすいです。株券を大量に発行して、それを投資家に買ってもらうだけの話。何も悪いことはないような気もしますが、株式の発行枚数が増えるので、株の価値が下がるのです(インフレと同じ)。なので、既存のホルダーからは猛烈に嫌われるのでした。
■調達した資金をラーメン業態に投下します!しかし…
大切なのは資金を何に使うのか、ということですね。小僧寿しは3月に調達資金の使いみちについて発表しました。その中身を見てみると、大きく2つに分かれているようです。
①:[不採算店舗のクローズ費用]
いわゆるリストラ費用です。当初は8500万円を見込んでいましたが、最終的には1億5400万円かかりました、というのが会社の説明。そんなにかかるんかい!と言いたくもなりますが、リストラは会社の”膿出し”ですから、ある意味必要経費です。
②:[ラーメン業態への投資]
さあ、面白くなってきました、ラーメンです。麺類に力を入れる寿司屋さんは、スシローやくら寿司だけではありません。「麺や小僧」というラーメン店をご存知でしょうか?小僧寿しが運営するラーメン店です。一足先にその分野を開拓していたのは、小僧寿しだったのです。新規投資額は5億円を予定。
なるほど、新しい分野に投資をして成長するという戦略、悪くないです。ところがどうでしょう。会社の発表を見ると、誰もが「ん?」となるはず。
■「麺や小僧」も不採算でした、すんませんね
小僧寿しは資金調達をする際、投資家に「らーめん小僧で稼ぎまくります。だからおカネを下さい!」と宣言したわけですが、本格的な資金調達を行う前に、トライアルとして出店してみると、収益が目標を大幅に下回るという結果に。これはヤバイと、新たなラーメンショップ「麺屋黒琥」拡大構想をぶちあげました。小僧寿しは「今は試験導入中だから、調達した資金はすべて使えません。7000万円程度の出費に留まっています」と発表しているのです。以下に流れを説明すると、
小僧「寿司は儲からねぇ、ラーメン屋すんぞ。カネよこせ、5億」
投資家「まあ、このまま会社を潰されるよりはいいか。新業態に期待しよう」
小僧「やっべぇなぁ、ラーメン屋やってみたけど、儲からねぇわ」
投資家「マジで?どうすんの?」
小僧「ブランド変えてやってみるわ。小僧ってなんだよ、小僧って。よく考えたら、そのまんまの名前つけたって客が入るわけねぇよな。だから黒琥ってブランドにするわ。まぁ、そんなわけで、とりあえず7000万は使ったから」
投資家「こいつ、マジ商売わかってねぇだろ。まあいいや、それで、残りの資金4億3000万円はどうするつもり?」
小僧「借金返済と社内経費にあてちゃった。てへぺろ」
銀行「投資家のクズどもに渡すカネはねぇんだよ」
以上。
末恐ろしい企業、小僧寿し。これからの動向に注目が集まっています。
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【関連News】
小僧寿しの代表取締役社長磯村明彦氏は3月25日に退任し、森下將典氏が新たな代表取締役社長として就任した。森下氏は平成2年4月に日本長期信用銀行(現:新生銀行)
に入行。平成12年11月メリルリンチ日本証券入社。平成24年10月どさん子代表取締役、平成27年4月アスラポート・ダイニング取締役海外戦略本部長兼経営企画室長に就任している。
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