【飲食業界に新旋風】「バルニバービ」に見る飲食チェーンの未来
■「めんどくさい」を克服できるかが勝負の分かれ目
昨年10月に上場したバルニバービという会社をご存知でしょうか?カフェレストラン「GARB」などを運営している会社です。5月には、今話題の大阪T-SITEに「MEAL TOGETHER ROOF TERRACE」をオープンします。
つい先日岩井コスモ証券が投資判断最高ランクの「A」をつけたわけですが、その理由が大きく2つ。1つがチェーン展開やマニュアル化に頼らない運営スタイルであること。もう1つが、競合が存在しないバッドロケーションへの積極投資というものでした。
ここで従来のチェーン店のメリットを考えてみましょう。
▼メリット①:オペレーションの簡略化
店作りから制服、メニュー、仕入れ、接客、飲食店のすべてが画一化できます。面倒な手間がかからず、運営コストが極めて安く抑えられる、ということです。
▼メリット②:ドミナント戦略によるリソースの有効活用
「スタッフが足りない!」「来客が多すぎてウェイティングが出てしまう」そんなときは、近くの同系列店舗と連携して対処できます。
チェーンメリットはオートメーション化と効率化を推し進めた結果の一つです。
■顧客がチェーン店から離れた理由
居酒屋を始めとした飲食チェーンが苦境に晒されています。何故か。顧客が離れたからです。それは何故か。オートメーション化されたお店に魅力を感じなくなったからです。
従来、顧客が飲食店に求めていたのは「いつもの味」でした。仕事が終わって一杯飲もう、そう考えたときに安定した料理やお酒を提供するお店は使いやすかったのです。
ところが、若者はそれを喜びません。現代の若者は、SNSで体験を共有することに重要性を感じています。「こんなステキなお店にいます!」「有名人がオススメするパンケーキがコレです!」。そんなふうなメッセージを発信したいのですね。
チェーン系居酒屋やファミリーレストランでは、ネタ不足なわけです。
ではバルニバービはどうなのか。
■店舗運営子会社を設立し、代表権限を委譲
ビアガーデンやバーベキュー、こたつテラスなど、バルニバービが運営する飲食店は企画やサービスがとにかく細かい!成功したお店を踏襲して、一気に広げようという発送はありません。顧客重視の(面倒だけれども)本質的な飲食店の姿があります。
「そんなのわかってる。でも店長やエリアマネージャーは、ただでさえ忙しいのに、企画やサービス向上を考える余裕なんてないよ」という声が聞こえてきそうです。それはごもっとも。バルニバービはそれを仕組みで解決しています。
■マネージャークラスの人材に代表権限を与えてしまえ!
バルニバービは各エリアに店舗運営子会社を設立しています。決定権を持たせて店舗の活性化を図り、スピーディーに企画を通せるようにしているわけですね。当然、責任感も生まれますので、自分のお店を成長させようと必至に人材育成にも取り組むわけです。
チェーン店という形が悪いわけではありません。「めんどうなこと」や「飲食店の本来の姿」「顧客軽視」の結果が、客離れを招いたわけで、その中心にいた店舗が軒並み”やられてしまった”ということになります。
若者は飲みに行かなくなった?違います。若者は体験を重視するお店に軸足を移したのです。
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【関連News】
バルニバービは16年7月期第2四半期累計の連結決算を発表した。売上高は39億6900万円、営業利益は2億3900万円。
第2四半期連結累計期間の店舗の増減として、レストラン事業では5店舗をオープン、期間限定店舗1店舗をクローズ、スイーツ事業では2店舗をオープンし、グループとして計7店舗をオープン、1店舗をクローズとなり、「順調に推移している」と発表している。
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